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「万引き・窃盗」に関するお役立ち情報
窃盗罪で起訴された場合の刑事弁護活動
1 窃盗罪について
コンビニでの万引きから、貴金属店から高価な時計などを盗む行為まで、これらの行為は刑法上の「窃盗罪」に該当します。
窃盗罪に科される刑罰は、「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」となっており、最大で10年の拘禁刑の可能性があるという点で重い罪といえます。
被害金額が少なく、初犯であれば、略式罰金で終わる場合も多いですが、被害金額が数百万円を超えるなど多額の場合には、たとえ初犯であっても実刑になる可能性もありますので、被害弁償・示談の有無が重要になります。
2 起訴後の流れ
では、窃盗罪で起訴されてしまった場合、どのように事件は進んでいくのでしょうか。
まず、起訴されると、およそ一か月以内に裁判の期日が決められます。
その際、身柄拘束中であれば、保釈請求を行うなどして、身柄解放活動を行うことになります(保釈については後述します)。
次に、裁判の具体的な流れは、概ね以下のようになります。
⑴ 冒頭手続き
【①人定質問】
まず、被告人の氏名、生年月日、本籍、職業等の確認が裁判官からなされ、人違いがないかの確認を行います。
【②起訴状の朗読】
次に、検察官が起訴状を朗読し、審理の対象となる犯罪事実(以下、「公訴事実」といいます)を明らかにします。
【③黙秘権の告知】
裁判官から被告人に対し、「話したくないことは話さなくてもよいこと」「法廷で話したことは、裁判上、有利にも不利にも扱われることがあること」の説明がなされます。
【④罪状認否】
裁判官が、検察官が読み上げた起訴状記載の公訴事実につき、被告人に間違いがないかを確認します。
その後、弁護人に対しても同様の確認がされます。
⑵ 冒頭陳述
罪状認否に次いで、検察官から、公訴事実や犯行に至る経緯、動機等について、陳述がなされます。
⑶ 証拠調べ
次に、検察官が、公訴事実を証明するために必要な証拠の取調べ請求を行います。
ここで請求される証拠としては、被告人、被害者、その他事件関係者の供述調書などの書証や、証人などの人証が挙げられます。
このような検察官の証拠調べ請求に対し、弁護人が意見を述べることになり、弁護人が異議を述べずに同意した証拠については、裁判所が証拠として採用することになります。
次に、弁護人からも、同様に証拠請求を行うことになります。
被告人が公訴事実を認めている場合(以下、「自白事件」といいます)では、情状面で被告人の有利になりうる、謝罪文や示談書、家族の身元引受書や、身元引受人を人証として取調べ請求することになります。
一方で、被告人が公訴事実を争っている事件(以下、「否認事件」といいます)の場合には、被告人の主張を裏付けることになる証拠や、被害者の供述の信用性を揺るがすような証拠を取調べ請求することになります。
⑷ 証人尋問
自白事件の場合には、検察官の請求証拠に弁護人が同意していることが多いため、検察官からの証人尋問請求は通常ありません。
一方で、弁護人からは、情状証人(被告人の刑を軽減させるための証人:家族や職場の上司など)の証人尋問申請を行うことになります。
否認事件の場合には、検察官は、弁護人が不同意にした供述調書の供述者(目撃証人、被害者など)を証人として尋問することになります。
一方で、弁護人からは、検察側証人に対して、その証言の信用性を低下させることを目的に反対尋問を行うことになります。
また、被告人の主張を裏付けるような、アリバイ証人がいれば、それらの証人に証言してもらい、被告人のアリバイを立証していくことになります。
⑸ 被告人質問
証人尋問が終わると、続いて、被告人本人の質問が行われます。
ここでは、まず弁護人から質問がなされ、次に検察官の反対質問、最後に裁判官からの質問が行われます。
自白事件の場合には、弁護人からは、被告人の反省状況、被害弁償の状況、被害者への謝罪などを中心に質問します。
否認事件の場合には、無罪を証明するため、被告人のアリバイ等につき質問することになります。
⑹ 論告・求刑
被告人質問が終わると、検察官から、今までの審理を踏まえた最終的な刑期についての意見が述べられます。
⑺ 弁論
検察官の意見の後、弁護人から、事件や被告人の処遇についての意見を述べます。
自白事件の場合には、被告人の反省状況などを述べた上で、執行猶予付きの判決や、罰金刑など、被告人の罪を軽減する処分を求める意見を述べます。
否認事件の場合には、証拠をもとに、被告人が無罪となることを論じます。
⑻ 被告人の意見陳述
審理の最後に、被告人の意見を陳述する機会が与えられます。
この意見陳述をもって、裁判手続きは終了となります。
⑼ 判決言い渡し
裁判官から、最終処分とその理由が述べられます。
判決に対して不服があれば、判決の言い渡し日から14日以内に控訴提起することになり、控訴をしない場合には、刑事裁判が終了となります。
3 保釈について
保釈とは、起訴後に一定額の保釈金を担保として、裁判官の定めた条件を順守することを条件に、被告人を身体拘束から解放する制度です。
具体的には、被告人に罪証隠滅のおそれや、逃亡のおそれがないこと、身体拘束の継続により被告人が被る不利益が大きいことなどを書面で裁判所に主張し、これが認められた場合には、裁判までの期間釈放されることになります。
その際には、今後窃盗を繰り返さないように、被告人の生活を監督できる、家族等の身元引受人が必要になります。
また、病的に窃盗を繰り返してしまうような方の場合には、保釈中に入院治療をしてもらうこともあり、その際には、担当医を身元引受人にすることもあります。
この保釈請求が認められた場合には、裁判所から指定された保釈金を納付することで釈放されることとなりますが、その際、保釈についての条件(制限住居や、裁判所への出頭、共犯者と接触しないなど)が課されます。
この条件を破ってしまうと、保釈が取り消されてしまうだけでなく、場合によっては保釈保証金が戻ってこなくなることもありますので、十分注意が必要です。
4 示談の必要性
起訴後であれば、仮に示談が成立しても不起訴になることはありませんが、量刑を軽くする方向に働く事情になります。
勾留中であれば、示談の成立により、保釈がより認められやすくなるため、起訴前に示談ができていない場合には、可能な限り示談の成立に努めたほうがよいでしょう。
5 処分について
起訴された場合、初犯で、示談が成立しており、被害金額もそれほど大きくないような事案であれば、略式手続きにより、法廷で裁判を行うことなく、100万円以下の罰金刑が言い渡されることもあります。
一方で、正式裁判になった場合には、犯罪事実に争いがない事案であれば、今回の事件について深く反省していることや、今後の再犯防止策などを、本人だけでなく、その家族などにも法廷で証言してもらい、裁判所に対して寛大な処罰(執行猶予付き判決)を求めることになります。
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